骨粗しょう症はなぜ起こるのでしょうか。年齢や性別、病気やお薬による影響など、ここではそれらの原因やなりやすい人について、詳しく解説しています。

60歳代女性の約5人に1人が骨粗しょう症といわれています

対象と方法
異なる特性を持つ3つの集落(東京都板橋区の都市部、和歌山県日高川の山岳地帯、和歌山県の太地の沿岸地域)より募集した、男性(平均年齢70.3歳)1,061名、女性(平均年齢69.9歳)1,979名、合計3,040名より、腰椎および大腿骨近位部の骨粗しょう症有病率を調査した。
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度 P4 (Yoshimura N, et al. J Bone Miner Metab 2009 より作図)
どんな人が骨粗しょう症になりやすいの?
60歳代女性の約5人に1人が骨粗しょう症といわれています。
骨粗しょう症は閉経後の女性に多い病気です。男性よりも 2〜3倍多く、60歳代の女性では約5人に1人、70歳代の女性では約3人に1人が骨粗しょう症といわれています。
50歳を迎えると、女性は急激に骨折しやすい状態へと変わってゆきます

小山 嵩夫:「女と男の更年期」P.43、誠文堂新光社、2008より改変
骨は、硬くてしっかりした丈夫なもの、成⻑期にできあがったら変わらないもの、と思われるかもしれません。ところが、骨はお肌と同じように、日々新陳代謝しており、常に新しく作り変えられ、年齢とともに変化していきます。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨の新陳代謝の際に、古い骨をこわす作用をゆるやかにする働きがあります。ところが、50歳前後になると女性は、閉経によってエストロゲンの分泌が急激に低下するため、閉経後10年ほどの間で、骨粗しょう症と診断される状態まで、骨の量が急激に低下し、骨粗しょう症(骨がもろくなり骨折しやすい状態)になりやすいことがわかっています。
定期的に骨密度検査を受けましょう

特に女性は50歳以上で骨粗しょう症になる人が多くなります。骨を丈夫にする食事や運動に気をつけるとともに、定期的に骨密度測定を受けて自分の骨チェックしておきましょう。骨折してしまう前に発見し、治療を始めることが肝心です。
年齢や性別、生活習慣や病気、お薬など骨粗しょう症を引き起こす要因はさまざまです
加齢や閉経のほか、骨の健康を損ねる生活習慣、骨の新陳代謝に影響を及ぼす病気や薬の使用がある人も骨粗しょう症になりやすくなります。
- 最近身長が縮んだ・背中が丸くなったと思う
- 閉経後の女性である
- 体格が細身である
- 両親のどちらかが太もものつけ根を骨折したことがある
- タバコを吸っている
- 日常的にお酒を飲む量が多い
- カルシウムを意識した食事をしていない
- 日光に当たる時間が少ない
- 関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症と診断されたことがある
- 糖尿病や慢性腎臓病で通院中である
- グルココルチコイド(ステロイド)薬(服用・吸引など)を使用している
全体監修 : 健康院クリニック 院長 細井 孝之 先生